企業概要:SIer・株式会社ネクスタテック(売上15億円)
株式会社ネクスタテック(東京都新宿区、従業員85名)は、中堅・中小企業向けの業務システム開発・運用保守を主力とするSIerです。受託開発から自社パッケージ販売まで幅広く手掛け、2025年度の売上高は約15億円。設立20年で着実に成長してきましたが、受注増加に対してエンジニア不足が慢性化し、プロジェクト品質と収益性の維持が課題でした。
| 項目 | 申請時点の状況 |
|---|---|
| 売上高 | 約15億円(前期比+8%) |
| 従業員数 | 85名(エンジニア65名、営業・管理20名) |
| 主力サービス | 業務システム受託開発(売上比率65%)、SaaS自社製品(15%)、保守運用(20%) |
| エンジニア平均稼働率 | 115%(残業常態化) |
| 直近3年の受注断り件数 | 年間30件超(キャパシティ不足のため) |
IT企業が成長加速化補助金を活用できる理由
成長加速化補助金の補助対象経費にはソフトウェア費・外注費・専門家経費が含まれます。IT企業の場合、自社システム刷新・AI基盤構築・クラウド移行などがこれらに該当し、製造業の設備投資と同様に大規模補助を受けることができます。ただし「汎用的なSaaSのサブスクリプション費用」は対象外のため、自社開発・カスタム開発の費用を明確に区分することが重要です。
課題と投資の背景:エンジニア不足と社内DXの遅れ
ネクスタテックが直面していた課題は、矛盾した2つの問題でした。「DX支援のSIerなのに、自社の業務がアナログ」という状況です。
- 課題1:プロジェクト管理の非効率 — プロジェクト進捗管理にExcelを使用。月次の工数集計に延べ40時間/月を要しており、リアルタイムな採算管理ができていなかった。
- 課題2:ナレッジが属人化 — エンジニア個人のスキル・ノウハウが蓄積されず、退職リスクが高い状態。過去プロジェクトの類似案件検索に平均3時間/件かかっていた。
- 課題3:提案活動の限界 — AI・データ分析領域の顧客ニーズが急増しているが、自社にAI実装の実績がなく、受注機会を逃していた。
これらの課題を根本から解決するため、基幹システムの全面刷新(ERP導入)とAI活用プラットフォームの構築に投資することを決断。投資総額2億円、うち補助金で1億円の調達を目指しました。
投資内容と補助金額:総投資2億円・補助1億円の内訳
補助対象経費の大部分はソフトウェア費と外注費で構成されました。IT企業らしく、機械装置費はゼロです。
| 経費区分 | 内容 | 金額 | 補助対象 |
|---|---|---|---|
| ソフトウェア費 | 統合ERP(プロジェクト管理・人事・会計一体型)ライセンス+カスタマイズ | 6,000万円 | 対象 |
| ソフトウェア費 | 社内ナレッジAI基盤(LLM活用文書検索・提案支援システム)開発 | 4,500万円 | 対象 |
| ソフトウェア費 | 顧客向けAI実装テンプレートライブラリ開発 | 3,000万円 | 対象 |
| 外注費 | AI基盤のMLOps環境構築(専門ベンダーへの委託) | 3,500万円 | 対象 |
| 外注費 | ERP導入コンサルティング・業務設計支援 | 2,000万円 | 対象 |
| 専門家経費 | 申請コンサルティング(中小企業診断士) | 500万円 | 対象 |
| ソフトウェア・外注費 小計 | 1億9,500万円 | 補助金1億円(補助率1/2) | |
| 機器購入(PC・サーバー等) | 500万円(対象外) | ||
汎用ソフトウェアは補助対象外
MicrosoftのOffice 365やZoom等の汎用SaaSサブスクリプションは補助対象外です。補助対象となるのは自社の事業成長に直接寄与する専用システムの開発・導入費用です。「成長加速化に特化した機能」であることを経費ごとに説明できる状態で申請してください。